法話

新しい家族

 春彼岸が終わった頃、新しい家族が増えました。住職がお参りの帰りに、相談もなくペットショップからお迎えしてきました。彼の名は「福」。4歳の男の子です。我が家には先住犬がいます。彼女の名前は「姫」。5歳の女の子です。

 この2匹には、行動に大きな違いがあります。例えばご飯の時。姫は誰かが近づいても気にせず、おとなしく食べています。福は誰かが近づくと唸り声をあげ、なかなか食べ始めません。おやつをあげた時も違います。姫はその場で食べ始めます。福はおやつを受け取ると、自分の小屋に持って行ってから食べるのです。きっと、姫は子犬の頃から一人っ子のように育ったので、誰かに取られる心配をしていないのだと思います。一方の福は、繁殖犬として育ち、4歳になってから我が家にやって来ました。それまで多くの犬と一緒に暮らしていた福は、食べ物を取られないように、いつもどこか警戒していたのかもしれません。

 姫と福の行動の違いを見ていると、やはりどんな環境で育ったのかがその子のあり方に大きく影響しているのだと感じました。

 私たち人間も同じで、どんな場所で、どんな人たちと、どんなふうに過ごしてきたかによって、物の見方や感じ方が育まれていくのだと考えさせられました。私は、つい相手の背景を考えずに自分の物差しで判断してしまうことがあります。しかし、自分自身もこれまでいろいろな経験や出会いを通して価値観が培われてきたように、きっと他の人もそれぞれの経験や背景があるのだと思います。

 「みんな違う」そんなことは当たり前だと頭で分かっていたつもりでいました。でも、姫と福を通して、自分の物差しだけで判断するのではなく、相手の背景を理解することが大切なのだと改めて気付かされました。私自身まだまだですが、人の違いを受け止められる人になりたいと思います。そしてこれからも姫と福を大切に育てていきたいと思います。

住職、次からは相談しましょう。

砂川市西願寺 西川真子

PAGE TOP