法話

お慈悲

 先日、亡き父の夢を見た。

 亡くなってから3年以上の月日が過ぎさった。亡くなる半年前からは、体調が良くなく病院で入院しお世話になっていた。当時入院中コロナウイルス蔓延より面会が出来なくなり、最後の死に目にさえ会えなかった。亡くなった時は深い悲しみに包まれた。父は私にとって強さと支えであり、いるだけで私の励ましになる存在であった。
父の死を受け入れるのはとても難しいことでしたが、けれど思い出と教えを大切にし、今を生き抜いています。

 ご本尊である阿弥陀さまに手を合わす時感じる物があります。それは仏様の『お慈悲』です。慈悲とは、よく母が子供に向けた顧みない愛情を表現します。母親は子供を授かりお腹の中で10月10日大事に育て、誕生してからもその子供の健康や幸福を願い育てていく存在です。子供を授かることは、人生の中でも特別な喜びであり、責任でもあります。母親は子供の成長を支え、導き、時には叱り、時には褒め、愛情を持って接していくのが仏様の慈悲に例えられます。

 また、共有も例えられます。私たちは人それぞれ好物の食べ物があります。人によっては肉・魚であったり、フルーツ・スイーツであったりしますが、その食べ物を1人で味わってしまえば、1人の喜びになってしまうけれど、みんなで共有すればみんなで味わうことができます。父親の面影を思い出す時にいつまでも心の中で残り続けるお慈悲を届けてくれます。私が嬉しい時も悲しい時いつでも共有し、深い愛情を今でも願ってくれています。

 父の夢を見た時、『お慈悲』を再確認させて頂きました。

奈井町西本寺 藤堂亮

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